英会話の講師をしていると「文法を習っていて本当に英会話ができるようになるんですか」とか「できれば文法じゃなくて会話を習いたいんですが」などという相談を受けることがあります。このブログを読んでくださっている講師の方もご経験があるのでは?
そもそも「文法」とは何でしょうか?
1 文章を構成するきまりや規範。また、文章を書く上でのきまりや書き方。
2 言語を構成する諸要素の間にみられる法則性。また、それを分析・記述する研究。ふつう、単語・文節・文などの言語単位について説かれるが、さらに語構成・文連接・文章構成などの問題についても扱われることがある。
goo辞書より
英英辞典だと下記のように出ています。
the study or use of the rules about how words change their form and combine with other words to express meaning
Cambridge Dictionary
’意味を表現するためにどのように単語(言葉)が形を変えたり、他の単語と結びつくのかという決まりの研究や用法’
つまり、研究者じゃない普通の人々にとって文法って言葉で表現するためのルールですよね。実際、今私は日本語でブログを書いていて母国語なので意識しませんが、日本語の文法に従っているんです。そして話し言葉(会話)でも文法を使っています。「昨日はカレーを食べた」”I had curry yesterday.” 「今日はピザを食べるつもり」”I’m going to have pizza today.” 「太郎はピザ食べたい?」”Taro, would you like to have pizza?”
どうですか?もし日本語の文法をきちんと理解していなかったら、「昨日はカレーを食べる」「昨日がカレーを食べた」などと間違える人もいるでしょう。英語もそうです。過去形を知らなかったら ”I have curry yesterday.”と言う人もいるでしょう。文の並べ方も知らなかったら “Yesterday, curry.” のように知っている単語でどうにか伝えようとするでしょう。
そこで文のルールが必要になってきます。主語+動詞+(~を 目的語) に当てはめると、”I have curry.” は言えるようになります。動詞の過去形を知ると、”I had curry.” が言えるようになります。そして「いつ、何曜日に、何時に」などは通常は文の最後だと知ると、”I had curry yesterday.”という文が完成します。 ※昨日を強調したいときなど、”Yesterday, I had curry.”と言ってもOK
どうでしょうか?もしかすると「文法」という名前が難しそうに聞こえるのかも知れません。単純に「ルール、決まり」と考えては?それと、どの程度そのルールを知る必要があるかは、あなたの英会話学習の目的にもよると思います。海外旅行、留学準備、海外転勤準備、英検、TOEIC、英会話が好きだから、など目的が異なりますよね。「旅行先で結構単語だけで通じたわ」と言う人も少なくないです。「でも相手が何を言っているかが聞き取れなくて」と言う人はすごく多いです。相手が使っている単語、発音(音のつながりなどもあります)、そして文のルールを知らないと聞こえませんね。そう、リスニングにも文のルール、文法は必要なんです。
日本の学校の文法学習が会話力上達の邪魔をしているかのように言う人もいます。そうでしょうか?日本で生まれ育った人は日本語を文法から覚えません。自然と日本語環境の中にいて身に付きます。もちろん親や家族が生活の中で教えることもします。でも英語は普段の生活で使われていますか?しょっちゅう誰かに英語で話しかけられますか?答えは「いいえ」ですね。だからこそ文のルールを知ることは英会話力を伸ばすための近道にもなります。
日本では「でも、学校で文法習ったけど英語は未だにしゃべれませんよ」と言う人がほとんどです。きっとペーパーテストでは間違えないだろう間違いを会話ではしてしまっているのでは?そして、自信を失っていく。。。という悪循環。実際、私の生徒さん達も知識として持っている語彙や文法レベルが会話になると下がります。例えば中級レベルの人が会話になると初級レベルになる、と言う感じです。海外の英会話学校や大学の英語クラスもそうですよね。特に日本人はクラスを決めるペーパーテストでは良くできていたのに、そのクラスに入ると他の生徒さんの会話レベルが自分より高いってことが起きます。
スポーツでもルールや基本の動きを習います。そして練習の後に試合をします。英語も話す実践が必要です。残念ながら、日本では英語ネイティブと話す機会があまりありません。英語で考えたり発話したりする時間があまりにも少なすぎます。学校の英会話の授業や習い事の授業があってもまだまだ少ない。
「英会話に慣れる」には自分で機会を作らなければなりません。Thanks to the Internet(インターネットのおかげで)今はいろんな実践方法があります。せっかくインプットした語彙や文法です。会話で使えるようにしたいですね。
自己学習で「英会話に慣れる」お薦め方法 できそうなことから始めましょう!
- 新しく習った英語のルールはそのルール(文法)の当てはめて自分でも文を作りましょう。新出単語、熟語なども自分で覚えたいものは文の中に取り入れてみましょう。オンライン辞書も例文作りの役に立ちます。
- 習った英文は必ず声を出して感情を込めて言いましょう。音声付きの教材なら真似をしましょう。
- YouTubeには無料で英語を教えてくれているビデオがあふれています。自分で気に入ったビデオを見て、声を出して真似をしましょう。
- 英語アプリもかなり良くなってきています。AIと会話できるものもありますよ!
- SNSを使っている人は海外の人とつながって英語でチャットしましょう。
- 目標を決めましょう。(1年後には単語だけで話すのではなく、文で話せるようになる。半年後には今使っている教材1冊分の会話表現を文章を見ずに言えるようにする。etc.)
- 自分の意見を持とう。海外の人と友達になると「あなたはどう思う?」”What do you think?”などと意見を交換することが多くなります。日本人は結構これが苦手ですよね。
今回は英文法に重点を置きましたが、基本の英会話力がついてきたら「ニュアンス」というものも必要になってきます。「ニュアンス」とは。。。
ある語・語句の持つ表面的な意味以外の、情緒的な意味や細かな意味。また、語句や文章の言外に表わされた意味や話し手の意図。
コトバンク
この「ニュアンス」についてはまた別の機会に。
ここまで読んでくださってありがとうございました。